”私”とアレックスは洞窟の中をどんどん降りていた。
アレックスとは”私”のゲーム仲間のようだ。
”ようだ”というのはこの状況からそう読み取れるとしか言えない。
なんせ、今、”私”はゲームの世界にいるようだからだ。
そんなことは置いて置き、”私”はアレックスに置いて行かれそうになりながらも必死について行った。
どれだけ降りてきただろうか。
遠くが明るい。
外に繋がっているのか?
こんなに降りてきて外と繋がっていることなどあるのだろうか?
その明るいエリアに近寄ると明らかに暑い。いや、熱い。
どうやらそれはマグマのようだった。
その熱いマグマを前にアレックスは水入りのバケツを取り出してこう言った。
「さぁ黒曜石に変えてしまいましょう」
そう言うとバケツの水をぶちまけた。
するとどうだろう。
今までマグマだったその場所は暗い紫色の何かに変化した。
これが黒曜石か?
そう考えていると、アレックスはキラキラ輝くツルハシを取り出して、その黒曜石らしきものを破壊し始めた。
なんだあのツルハシ?きれいだな~と見とれながらアレックスの作業を見守った。
アレックスは黒曜石らしきものを破壊しながら”私”にこう言った。
「火打石と打ち金がまだなのよね。火打石を取ってきてくれない?」
”火打石”?
どこに取りに行けばいいんだ?そう考えているとアレックスが続けていった。
「ここに来る途中に砂利のエリアがあったわよね。あそこで掘ってきて。」と。
”砂利”を”掘る”と”火打石”が手に入るということか?
よくわからないが、少し戻った砂利のエリアに行ってみた。
そして砂利を手で壊してみた。
”掘る”って”壊す”ってことでいいんだよな?
そう思いながらいくつか壊していると砂利とは違う何かが宙に浮いている。
黒っぽいそれが”火打石”なのか?
これを持って、アレックスのところに行ってみた。
そして、アレックスの前に誇らしげに”火打石”を掲げて見せた。
”じゃ~ん””どうだ~!”という感じで。
するとアレックスはさらっと、「あったのね、良かったわ」と軽く流した。。。
なんだかちょっと悲しくなった。
もっと褒めてくれてもいいのに・・・
そんな”私”を尻目にアレックスは言った。
「さぁ~黒曜石が揃ったから地上に戻るわよ」
黒曜石を使って何をするんだろう?
きっと、火打石も使うと思うけど、全く想像できない。
想像できても・できなくても、アレックスに付いて行くだけだ。
とりあえず私たちは地上に戻った。
地上に戻るなり、アレックスはこう言った。
「私はゲートを作るから、あなたは打ち金を作っておいて」
そう言って、私に鉄の延べ棒を渡してきた。
またもや謎の言葉。”ゲート”?”打ち金”??
もーわからないので、素直に”打ち金”とやらを作ることにした。
多分、あの作業をする台に行けば作れるはずだ。
私は”洞穴”もとい”家”に戻り、作業する台に触れ、打ち金を探してみた。
どうやら”火打石と打ち金”というものを作れば良いらしい。
先ほど取った”火打石”と先ほど貰った”鉄の延べ棒”を使えばできるらしい。
早速作ってみて、ふと疑問に思った。
何かに火を付けるのか?
そう思いながらもアレックスに出来たことを報告した。
なんとアレックスは先ほどの黒曜石と呼ばれるもので大きな窓?額縁?のようなものを作っていた。
真ん中がぽっかり空いたその構造物はかなり不気味だった。
そして、”私”の報告を聞いたアレックスは「着火して」とだけ言う。
”着火”??
何をどうすれば良いかわからないが、たぶん先ほど作った”火打石と打ち金”を使えばいいことは察しがついた。
そこで”私”はアレックスに向かってそれを使ってみた。
するとアレックスは燃えた。。。
「ふざけないでよ~!!」
アレックスが怒った。
そりゃそうか。「私に着火して」なんて言わないか。
怒ったアレックスは”私”から”火打石と打ち金”奪い取り、先ほどの構造物の真ん中の空いている部分にそれを使って火を付けた。。。
付けたと思ったら何やら紫色のモヤモヤが出ている。
これはなんだ??
もー”私”は訳が分からな過ぎてただただ見ているだけだった。
「さーネザーへ行くわよ」
”ネザー”?
聞いたことがある。
が、どんなところで何をしに行くのかわからない・・・
またもやただ付いて行くだけだった。
が、付いて行こうとしたら、紫のモヤモヤの部分でアレックスは立ち止ったので”私”はぶつかった。
アレックスはそのまま動かない。
”私”もそこから先に進めない・・・
とその時、目の前が真っ暗になり、次の瞬間、何とも言い表せない不思議な光景が目の前に広がっていた。
赤紫の大地、あちこちに流れるマグマ。
遠くには奇声を上げる生き物(?)
今までの訳の分からない状態の10倍以上に訳の分からない状態だった。
が、先ほどの言葉から、ここが”ネザー”と言う場所なのかもしれないということを悟った。
”私”は平静を装い、アレックスに聞いた。
「この後どうするの?」
するとアレックスは言った。
「とりあえずネザー要塞を探してブレイズロッドを集めましょう」
その言葉を聞き、”私”は考察系Youtuberのごとく、名探偵コナンばりに考えを巡らせ、”どこか”に行って、”何か”を集めることが目的だということは理解した。
ただ、それがどこで、何なのかはやはりわからなかった。
アレックスは何かを確認しながら進んでいた。
「ここね。この座標の間をまっすぐ進むといずれネザー要塞が見えてくるわ」
もうどこの国の言葉を話しているのかわからないという感覚になってきた。
とりあえず、ここをまっすぐ進む・・・って目の前は壁じゃん!
と思ったのもつかの間、アレックスはその赤紫の壁を壊しながら進み始めた。
ワイルドだな~
素直にそう思った。
壁を壊しながら進むと時折、マグマの海が現れる。
そんな時はマグマの上に壊した赤紫のブロックを置きながらマグマの海の上を進んでいく。
それにしてもマグマって熱すぎる。
落ちたらどうなるんだろう・・・
そんなことを考えると身震いして腰が引けた。
ちなみに、今更ながら、アイテムを手に持つとそのアイテムの名前が頭に浮かぶ。
便利だ。
この赤紫のブロックは”ネザーレック”と言うらしい。
そうやってしばらく進むと、どす黒い茶色いレンガのような壁が見えた。
すかさずアレックスが言った。
「ネザー要塞発見!」
??
これが”ネザー要塞”というものなのか?
ここで”何か”を集めるんだっけ。
”私”はこの時はまだ軽い気持ちで何かを集めて帰るだけと思っていた。
まさか人生の中であんなに燃えることになるとは・・・